第675回 2019祇園祭前祭山鉾巡行は辻回し中心~その3

「河原町御池」交差点に、山5番伯牙山が入ってきました。
古代中国で箏の名人だった伯牙が、
彼の箏のいちばんの理解者だった友人の死に際し、
その悲しみから愛用の箏を斧で叩き割った故事に取材しています。
別名が、「箏挽き山」です。
また、会所が重要文化財の杉本家です。
今回は、この伯牙山以降の山鉾巡行を取材しました。
撮影日は、2019年7月17日水曜日午前10時45分。
そろそろ熱中症が、気になりだします。

伯牙山の担ぎの皆さんが、伯牙山を持ち上げられます。
友人の死による悲しみを表しているので、
ご神体の伯牙像の表情が苦悶で歪んでいますね。

伯牙山も約90度左折した時点で、地面に下ろされました。
そして、伯牙山は御池通に消えていきます。
そう言えば、第673回ブログの芦刈山以来
派手なパフォーマンスをする担ぎ山はありません。

そして、鉾4番菊水鉾が「河原町御池」交差点に入ってきます。
京都市中京区室町通四条上がるにこちらが立ちますが、
元々この地にあった井戸「菊水の井」が、名称の由来です。
中国の故事や日本の昔ばなしからの取材ではありません。

「河原町御池」交差点に、菊水鉾に先行して竹が並べられます。
そう言えば、菊水鉾の音頭取りは扇ではなく
独特の形状の団扇を持たれていますね。

菊水鉾の曳き手の皆さんが、自分たちの目の前まで来られました。
菊水鉾が交差点の中央まで来ましたので、
曳き手の皆さんは御池通に回られます。
背中の「菊水」の文字が、粋ですね。

曳き手の皆さんが御池通に移動されて、すぐに辻回しが始まります。
音頭取りの扇に合わせて、曳き手の皆さんが菊水鉾を引っ張ります。
この角度なら菊水鉾の中がよく見えますが、
前には少年で不老不死となった菊慈童の人形がいらっしゃいます。

菊水鉾の1回目の辻回しが終わり、
町衆の皆さんがまた竹を地面に敷き詰め直されています。

「よ~いよ~いよ~いとなっ、よ~いとせっ」
音頭取りの皆さんの掛け声とともに、
菊水鉾の2回目の辻回しが始まります。
その掛け声に合わせて、曳き手の皆さんも力が入ります。

辻回しで、菊水鉾がさらに約30°左折しました。
早速、町衆の皆さんが竹の並べ直されています。
あと1回で、菊水鉾の辻回しも完了するでしょうね。

竹を並べるのに、約2分で完成しました。
すると、音頭取りの方々が扇を振ります。
「よ~いよ~いよ~いとなっ、よ~いとせっ」
音頭取りの皆さんの掛け声とともに、
曳き手の皆さんが菊水鉾を引っ張ります。

すると、菊水鉾がさらに約30°左折しました。
これで、菊水鉾が約90°の左折が完了しました。
地面の上に並べられた竹が、鉾の下層に収納されます。

菊水鉾の竹の収納が、終了しました。
すると、音頭取りの皆さんが先程の異なる掛け声をされます。

「エイヤラヤ~」の音頭取りの皆さんの掛け声とともに、
菊水鉾が御池通を西に進み始めました。
やがて、菊水鉾は「河原町御池」交差点から姿を消しました。

続いては、山6番の油天神山の登場です。
油小路沿いの風早町にいらっしゃる火尊天満宮が、ご神体です。
祇園祭の山鉾の中には、町内にいらっしゃる小さな神社を
ご神体とするケースがいくつか見受けられます。
こちらも、そのケースのうちの1体です。

油天神山が、「河原町御池」交差点中央に差し掛かります。
すると、担ぎ手の皆さんが油天神山を持ち上げられます。

約90°左折して、担ぎ手の皆さんが油天神山を下ろされます。
そして油天神山は御池通を西に進み、交差点から立ち去ります。

さらに、山7番太子山がやって来ました。
「太子」とは聖徳太子のことで、こちらのご神体も聖徳太子像です。
「学力向上」のご利益があるとされる山なので、
受験祈願の絵馬が会所にたくさん飾られます。
祇園祭の「山」には通常松の木が使用されますが、
太子山のみ杉の木が使われています。

「河原町御池」交差点に、太子山が入って来ました。
すると、担ぎ手の皆さんが太子山を持ち上げられて
そのまま交差点を左折されます。

太子山の後から、荷茶屋(にないじゃや)が続きます。
いつも太子山の会所の前に、二つ並べて置かれていますね。
(第582回ブログを参照)
太子山が巡行する際に必要なものが、中に入っています。

続いて、山8番保昌山の登場です。
激しい求婚の末、絶世の美女と呼ばれた和泉式部と結婚した
平安時代の武将平井保昌がご神体です。
そのため、恋愛成就のご利益があるとされています。

保昌山が、「河原町御池」交差点に入ってきました。
すると担ぎ手の皆さんが、保昌山を持ち上げられました。

約90°左折されて、保昌山が地面に下ろされました。
保昌山も御池通を西進して、「河原町御池」交差点を立ち去ります。

続いては、鉾5番鶏鉾が「河原町御池」交差点に登場しました。
祇園祭山鉾の中で、自分が唯一由来を知らない鉾です。
確か沿革は諸説あって、定説はありません。

鶏鉾の前部を大写しにしました。
鶏鉾にも稚児人形がいらっしゃいますが、
こちらには特に名前が無いようです。
ただ、口許が笑っているのが印象的ですね。

鶏鉾が、「河原町御池」交差点中央まで入ってきました。
「鶏」の法被を着こなされている曳き手の皆さんが、
西側の御池通の方に移動されます。

その直後に、鶏鉾の竹が交差点の地面に敷き詰められました。
「よ~いよ~いよ~いとなっ、よ~いとせっ」
音頭取りの方々の掛け声とともに、鶏鉾の辻回しが始まります。

鶏鉾の曳き手の皆さんが御池通から引っ張ると、
鶏鉾が約30°左折しました。
2019年の辻回しは、どの鉾も上手に回されます。

鶏鉾の竹は地面に敷き詰める作業はとても早くて、
自分がカメラを下ろしてすぐに2回目の辻回しが始まります。
音頭取りの方々が、掛け声とともに扇を振られます。
「よ~いよ~いよ~いとなっ、よ~いとせっ」

2回目の辻回しで鶏鉾が約90°左折したように見えますが、
本当はこの写真は3回目の辻回し終了直後のものです。
結構辻回しの間隔が短いので、撮り損ねてしまいました……

そして、「エイヤラヤ~」の掛け声とともに、鶏鉾が西進します。
これで鶏鉾まで辻回しが終了してしまいましたが、
まだまだ辻回しを終えていない山鉾がたくさんあります。
ただもうだいぶ写真を貼り付けましたので、今回はここまでです。
~次回は、山9番白楽天山以降の辻回しの様子を載せます。
祇園祭の辻回しは、あと何回か掲載します~
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