第674回 2019祇園祭前祭山鉾巡行は辻回し中心~その2

京都市中京区にある「河原町御池」交差点で、
祇園祭前祭山鉾巡行を見物しています。
前回ブログでは山2番芦刈山まで取材しました。
今回ブログは、こちらの山3番木賊山以降を掲載します。
撮影日は、2019年7月17日水曜日午前10時半。
例年よりも、ずっと早いペースで進みます。

木賊山は、天然の木賊(とくさ)を刈り
生計を立てる老人を描いています。
(謡曲「木賊」が元になっています)
ちなみに木賊はシダ科の植物で、漢方薬の材料です。
木賊山が、「河原町御池」交差点に入ってきました。
担ぎ手の皆さんが、力を合わせて木賊山を持ち上げられました。

持ち上げられた木賊山が、西を向きました。
こちらの山は約90°回転した後、そのまま着地しました。
クルクル回るなどの即興は、無しです。
そして、そのまま「河原町御池」交差点を去ります。
その理由は、後述します。

続いて、くじ取らず(順番固定)の鉾2番函谷鉾の登場です。
「函谷」とは古代中国の洛陽と長安との間にあった関所のことです。
……と書くと三国志が元と思われがちですが、史記が元ネタです。

函谷鉾が、河原町通を北上しています。
鉾1番の長刀鉾同様、鉾が交差点に入る前から竹を並べています。
つまり、交差点に鉾が入る前から辻回しの準備に入ります。
ですから手前の担ぎ山は、「空気を読んで」
派手なパフォーマンスを行いません。
それが、先程の木賊山が淡々と辻回しを行った理由です。

函谷鉾の正面を大写しにしました。
鉾なのでお稚児さんが乗っていらっしゃいますが、
こちらは「嘉多丸」という名の人形です。
函谷鉾は天明の大火でいったん焼失しましたが、
1833年に再興した際、それまでの生稚児(生身の人間)から
人形にお稚児さんを変更しました。
ちなみに、モデルは明治天皇皇后の兄一条実良の幼少時です。
お稚児さんを人形にしたのはこの函谷鉾が最初でしたが、
今では長刀鉾以外のお稚児さんは全て人形です。

函谷鉾が、「河原町御池」交差点中央に入ってきました。
「函」の紋が入った法被を着られた曳き手の方々が、
河原町通から御池通に移動されます。
いよいよ函谷鉾の辻回しの始まりです。

曳き手の皆さんが御池通に移動されたら、
鉾の前にいらっしゃる「音頭取り」の方々が掛け声を発せられます。
「よ~いよ~いよ~いとなっ、よ~いとせっ」
そして、その「音頭取り」の方々が扇子を左に振り下ろされます。
すると曳き手の方々が、御池通から西側から函谷鉾を曳きます。

その結果、函谷鉾は約30°左折しました。
すると、さらに竹の位置を修正して先程と同じ作業を繰り返します。
辻回しではこれを何度も繰り返し、約90度まで左折させていきます。
わずか2分後、音頭取りの方々がまた掛け声を発せられます。

「よ~いよ~いよ~いとなっ、よ~いとせっ」
音頭取りの方々がまた扇を左に振ると、
曳き手の方々が御池通側から鉾を引っ張ります。
曳き手の方々は、「綱引き」をされているみたいです。

函谷鉾が、さらに約30°左折しました。
もう1回辻回しが、必要ですね。

辻回し用の竹は、約2分で敷き詰められました。
ここ10年、町衆の方々は手際がよくなられている気がします。
「よ~いよ~いよ~いとなっ、よ~いとせっ」
音頭取りの方々はそう掛け声を掛けられて、扇を左に振られます。

その掛け声とともに曳き手の皆さんが、御池通側から曳かれます。
さらに30°、これで合わせて90°函谷鉾が左折しました。
この函谷鉾の辻回しも、長刀鉾同様約10分で終了しました。
以前の辻回しは、下手したら約30分掛かっておられたので、
全体的に辻回しの手際がよくなられているのでしょうか?

辻回しの使用される竹をすべて鉾の下層部に収納して、
音頭取りの方々の「エイヤラヤ~」の掛け声がかかり、
函谷鉾が御池通を西に進みます。

そして、函谷鉾が「河原町御池」交差点を去ります。
毎年自分はこの函谷鉾の辻回し中に、
「寺町御池」交差点へ移動して撮影していたのですが、
(「寺町御池」交差点の方が、山鉾がよく見えます)
2019年は辻回しに拘るので「河原町御池」交差点から移動しません。

函谷鉾の後は、山4番の郭巨山です。
2012年と2013年の山1番ですね。
自分が毎年粽を求めている山でもあります。
「郭巨」とは昔ばなしに出てくる中国の農民のことで、
謡曲「郭巨」の主人公です。
息子と山奥へ向かった郭巨は、黄金入りの釜を地中から堀出します。
ですから、別名「釜堀山」(かまほりやま)です。
息子の機転で黄金を郭巨が見つけたので、
親孝行・金運・商売繁盛を司る山です。
その関係で、毎年ウチの母の店先にこちらの粽を吊るしています。

郭巨山が、「河原町御池」交差点に入ってきました。
ご神体の郭巨と息子の人形が、しっかり見えますね。
いよいよ郭巨山の担ぎ手の皆さんが、山を持ち上げられました。

郭巨山も約90°左折して、そのまま地面に下ろされます。
実はもう次の鉾が「河原町御池」交差点に迫っておりまして、
この渋滞では派手なパフォーマンスも難しいですね。
2019年前祭の山鉾巡行は、例年になく急いでおります。

続いて、傘鉾1番の綾傘鉾の登場です。
2つある傘鉾のうち、綾小路沿いの大原神社を会所とする方ですね。
(大原神社の詳細は、第579回ブログ参照)
傘鉾はどちらも曳き手をあまり必要としないのですが、
その分随行者の数が相当多いのが特徴ですね。

綾傘鉾の随行者の方々が御池通に去られて後、
束帯姿に仮面を付けた男性が、
「河原町御池」交差点中央に進み出られました。

その男性の片手には、長い木の棒があります。
こちらの方が、その棒を振り回されました。
背後に囃手の方々がいらして、
祇園囃の曲調に合わせてこちらの方が棒を振り回されます。
こちらは「棒振り踊り」と言われるもので、
毎年山鉾巡行の際に各交差点で1曲踊られます。
四条傘鉾も棒振り踊りは存在するのですが、
棒の形や踊りの振り付けが綾傘鉾と全く違います。

1曲終わるとこのポーズのまま、
こちらの仮面の方が御池通に去っていかれました。
すると、囃手の方々も御池通に去っていかれました。

綾傘鉾には踊り手と同じ扮装をされている方がいらっしゃいますが、
こちらはそのまま「河原町御池」交差点を左折されます。
相当ハードな踊りなので、交差点ごとに交互に踊られるのでしょう。

さて、綾傘鉾の辻回しですが……
傘鉾の下には多少大きめのタイやが付いていまして、
担ぎ手の皆さんが担ぐ必要すらありません。
綾傘鉾を押したまま、御池通に去っていかれます。

ただ綾傘鉾は約35年前に復活された際に、2基製作されました。
ですから1基目が御池通に去った後、
もう1基が御池通に去っていかれます。
当初はもっと長く続けようと思っていたのですが、
諸事情で短めの記事を何回かに分けて連載することにしました。
よって、今回はここまでです。
~次回は、山5番伯牙山以降を記事にします~
~追記 その1~
この辺りの地図を貼り付けます。
詳しくは、ここをクリックしてください。
京都ホテルオークラが、起点です。
このホテルの西側で、今回写真を撮っています。
~追記 その2~
2019年の祇園祭後祭宵山散策は中止です
このブログの管理者ぴのぴなが、
2019年7月21日に脳卒中となりそのまま入院したため、
祇園祭後祭の取材はできませんでした。
(と言いますか、その時入院していました)
ですから、2019年の祇園祭の記事は
こちらの山鉾巡行で終了します。
後祭宵山散策の記事は、2020年に掲載予定です。
~追記 その3~
ぴのぴなの脳卒中詳報
これは自分が入院させていただいた武田病院の
脳外科担当の先生から聞いたのですが、
「脳卒中」には大きく二種類があります。
何らかの事情で脳内の毛細血管が千切れた「脳出血」と、
コレステロールなどで脳内の血管が詰まって
最終的に破裂する「脳梗塞」です。
自分は、このうち「脳出血」を発症させました。
右前頭葉の一部が、約1㎝切れてしまいました。
直接の原因は、一時的な高血圧です。
病院に自分が行った直後の血圧は
上が220、下が110でした。
こんな血圧だと毛細血管のどこかが破裂しても、
決して不自然ではありません。
実はもしかしたら心臓の方で、
それが起こっていた可能性もあったそうです。
2019年7月21日病院に入って間もなく、
病状がひどくなって、
そこから4時間ほど脳内で出血していたようです。
7月22日午前0時のCTスキャンでお医者さんが
「止血してる。もう大丈夫」
そうおっしゃった直後からSCU病棟に入院しました。
(脳卒中専門病棟です)
翌7月22日までは絶対安静でしたが、
7月23日以降は徐々に移動できるようになって、
7月25日以降はベッドの周囲をうろうろしていました。
ただ言語の発音はキチンと話せるまで時間がかかっています。
(と言いますか、今でもきちんと話せていません)
ただ2019年8月1日以降左の頬が動くようになって、
その直後に一般病棟に移動しました。
そして、8月6日に退院しました。
この辺りの地図を貼り付けます。
詳しくは、ここをクリックしてください。
京都ホテルオークラが、起点です。
このホテルの西側で、今回写真を撮っています。
~追記 その2~
2019年の祇園祭後祭宵山散策は中止です
このブログの管理者ぴのぴなが、
2019年7月21日に脳卒中となりそのまま入院したため、
祇園祭後祭の取材はできませんでした。
(と言いますか、その時入院していました)
ですから、2019年の祇園祭の記事は
こちらの山鉾巡行で終了します。
後祭宵山散策の記事は、2020年に掲載予定です。
~追記 その3~
ぴのぴなの脳卒中詳報
これは自分が入院させていただいた武田病院の
脳外科担当の先生から聞いたのですが、
「脳卒中」には大きく二種類があります。
何らかの事情で脳内の毛細血管が千切れた「脳出血」と、
コレステロールなどで脳内の血管が詰まって
最終的に破裂する「脳梗塞」です。
自分は、このうち「脳出血」を発症させました。
右前頭葉の一部が、約1㎝切れてしまいました。
直接の原因は、一時的な高血圧です。
病院に自分が行った直後の血圧は
上が220、下が110でした。
こんな血圧だと毛細血管のどこかが破裂しても、
決して不自然ではありません。
実はもしかしたら心臓の方で、
それが起こっていた可能性もあったそうです。
2019年7月21日病院に入って間もなく、
病状がひどくなって、
そこから4時間ほど脳内で出血していたようです。
7月22日午前0時のCTスキャンでお医者さんが
「止血してる。もう大丈夫」
そうおっしゃった直後からSCU病棟に入院しました。
(脳卒中専門病棟です)
翌7月22日までは絶対安静でしたが、
7月23日以降は徐々に移動できるようになって、
7月25日以降はベッドの周囲をうろうろしていました。
ただ言語の発音はキチンと話せるまで時間がかかっています。
(と言いますか、今でもきちんと話せていません)
ただ2019年8月1日以降左の頬が動くようになって、
その直後に一般病棟に移動しました。
そして、8月6日に退院しました。
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